近年、スマホ一つで手軽に始められる「ポイ活」が、副業やお小遣い稼ぎとして人気を集めています。しかし、ポイントを現金などに交換して利益を得た際に、「これって確定申告が必要なの?」「いくら稼いだら申告しないといけないの?」と疑問に思う人も多いのではないでしょうか。
この記事では、ポイ活の確定申告が必要になる具体的なケースから、所得の計算方法、申告手順、そして会社員の人が気になる注意点までを網羅的に解説します。税金のルールを正しく理解し、安心してポイ活を楽しみましょう。
ポイ活の利益はどの所得?3つの所得区分をパターン別に解説
ここではポイ活で得た利益が、税法上どの「所得」に分類されるかを解説します。所得の種類によって税金の計算方法や控除額が大きく異なるため、ご自身の活動がどれに当てはまるかを正しく判断することが確定申告の第一歩です。
ケース1:雑所得
ほとんどの人のポイ活が該当する最も一般的な所得区分が「雑所得」です。ポイントサイトでのアンケート回答や広告クリック、アフィリエイト、口コミ投稿など、継続的な活動を通じて営利目的で得られる所得が「雑所得」にあたります。
雑所得は、利子所得や給与所得、一時所得など他の9種類の所得のいずれにも分類されない所得を指し、多くの副業がこの区分に含まれます。複数のポイントサイトを利用している場合は、それらの利益をすべて合算して計算する必要があります。
ケース2:一時所得
企業のキャンペーンやクイズ、懸賞などで偶発的・一時的に得たポイントなどが「一時所得」に該当します。一時所得は、労働の対価や資産の譲渡などで得たものではない、継続性のない一時的な収入を指します。
生命保険の一時金や競馬の払戻金なども一時所得に含まれることがあります。雑所得と異なり、一時所得には年間最大50万円の特別控除があるため、同じ利益でも税負担が大きく変わる可能性があるのが特徴です。
ケース3:事業所得
ポイ活を主な収入源として生計を立てている、あるいは事業として継続的・反復的に行っている場合に該当するのが「事業所得」です。この区分になるには、活動の規模や費やしている時間、安定した収入があるかなど、社会通念上の事業と認められる客観的な事実が必要です。
事業所得と認められれば、赤字を他の所得と相殺できる損益通算や、青色申告による最大65万円の特別控除といった税制上のメリットがあります。一般的なお小遣い稼ぎのポイ活が事業所得と見なされることは稀です。
ポイ活での確定申告が必要なのはどんなとき?

ご自身が確定申告が必要かを判断できるよう、立場別に具体的な条件を解説します。収入ではなく、経費を差し引いた「所得」が基準になる点に注意してください。
会社員・パート・アルバイト(給与所得者)の場合
普段、会社やアルバイト先で年末調整を行っている人向けの解説です。給与以外の所得(副業所得)について、いくらから確定申告が必要になるのかを所得のパターン別に説明します。
ケース1:雑所得の利益が年間20万円を超える場合
給与所得を得ている人の場合、ポイ活やその他の副業で得た雑所得の合計額が年間で20万円を超えると、確定申告を行う義務が発生します。これは「20万円ルール」とも呼ばれ、年末調整で納税が完了する給与所得者の事務負担を軽減するために設けられた所得税法上のルールです。
ただし、この「20万円ルール」は所得税のみに適用される点に注意が必要です。住民税にはこのルールがなく、利益が20万円以下であっても、原則としてお住まいの市区町村へ別途申告する義務があります。
ケース2:一時所得の収入が年間90万円を超える場合
懸賞などで得たポイントが分類される「一時所得」の場合、計算方法が異なります。一時所得には最大50万円の特別控除があり、「(収入 – 特別控除50万円) ÷ 2 = 課税対象額」となります。
そのため、収入が90万円の場合に「(90万円 – 特別控除50万円) ÷ 2 = 20万円」となり、課税対象額が20万円を超えるため、申告が必要になります。
主婦・学生・無職(給与所得がない)の場合
年末調整の対象ではない専業主婦(主夫)や学生、無職の人向けの解説です。ご自身の所得税を計算するための「基礎控除」の金額が申告の基準となります。
ケース1:雑所得の利益が基礎控除額を超える場合
ポイ活の利益が「雑所得」にあたる場合、その合計額が所得税の基礎控除額を超えると、確定申告が必要になります。この金額は、すべての納税者に適用される基本的な控除額です。
基礎控除額は納税者本人の合計所得金額によって決まり、2025年(令和7年)分の所得税から改正されます。ご自身の合計所得金額がどの区分に当てはまるか、以下の表で確認しましょう。

ケース2:一時所得の課税対象額が基礎控除額を超える場合
一時所得は、「(収入 – 特別控除50万円) ÷ 2 = 課税対象額」となります。この課税対象額が基礎控除額を超える場合に、確定申告が必要になります。
基礎控除額58万円の場合、他に所得がなければ収入が166万円((166万円 – 50万円) ÷ 2 = 58万円)を超えると申告が必要になる計算です。保険の一時金など他の臨時収入も合算して計算するため注意しましょう。
個人事業主・フリーランスの場合
すでに事業所得や不動産所得などがあり、毎年確定申告を行っている個人事業主やフリーランスの人は、ポイ活で得た利益(所得)の金額にかかわらず、すべて申告する必要があります。会社員に適用される「20万円ルール」は、個人事業主には適用されませんのでご注意ください。
ポイ活で得た利益は、原則として「雑所得」として、ご自身の事業所得などと合算して確定申告を行います。
【5ステップで完了】ポイ活の確定申告のやり方を具体的に解説
確定申告と聞くと難しく感じるかもしれませんが、手順に沿って一つずつ進めれば決して複雑ではありません。ここでは、ポイ活の利益を申告するために必要な作業を、初心者の人にも分かりやすいよう5つのステップに分けて解説します。

ステップ1:年間の収入を集計する
まず、確定申告の対象となる期間(1月1日〜12月31日)のポイ活による収入を集計します 。各ポイントサイトやアプリの換金履歴、取引明細などを確認し、現金や電子マネーに交換した金額をすべてリストアップしましょう 。
複数のサービスを利用している場合は、それらの収入をすべて合算する必要があります。Excelやスプレッドシート、会計ソフトなどを活用して、いつ、どのサービスから、いくら収入があったのかを一覧にまとめておくと、後の計算が非常に楽になります。
ステップ2:経費を計算する
次に、ポイ活の収入を得るために直接かかった費用を「経費」として計算します 。経費として認められるものには、インターネットの通信費やスマートフォンの端末代金、パソコンの購入費用などがあります 。ただし、これらをプライベートでも使用している場合は、仕事で使った割合分のみを計算する「家事按分」という作業が必要です。
その他、ポイント交換時の振込手数料なども経費に含まれます。必ず領収書や明細書を保管しておきましょう 。
ステップ3:所得金額を算出する
ステップ1で集計した「年間の総収入」から、ステップ2で計算した「年間の総経費」を差し引いて、課税対象となる「所得」を算出します 。計算は非常にシンプルで、「総収入 – 総経費 = 所得金額」となります 。
この計算によって算出された所得金額に基づいて、確定申告が必要かどうかの最終的な判断を行います。
ステップ4:確定申告書を作成する
算出した所得金額を基に、確定申告書を作成します。手書きで作成することも可能ですが、計算ミスを防ぎ、効率的に作業を進めるためには、国税庁のウェブサイト「確定申告書等作成コーナー」の利用がおすすめです。このサイトでは、画面の案内に従って源泉徴収票の内容や所得金額などを入力するだけで、税額が自動計算され、申告書が完成します。
その他、市販の会計ソフトを使えば、日々の帳簿付けから申告書の作成まで一貫して行えるため、さらに便利です。以下の記事で、おすすめの確定申告アプリを厳選してご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
ステップ5:作成した申告書を提出する
完成した確定申告書は、定められた期間内(原則として翌年の2月16日から3月15日まで)に所轄の税務署へ提出します。
提出方法で最も推奨されているのが、マイナンバーカードを利用して自宅からオンラインで完結する「e-Tax(電子申告)」です。その他、確定申告書等作成コーナーで作成した書類を印刷し、郵送で提出する方法や、税務署の窓口へ直接持参する方法もあります。ご自身の都合に合わせて提出方法を選び、必ず期限内に手続きを完了させましょう。
【会社員必見】ポイ活の確定申告で会社にバレないための対策

会社員の人が副業を行う際に最も気になるのが、「会社に知られてしまうのではないか」という点です。確定申告をすることで会社に副業がバレるリスクを回避するための具体的な方法を解説します。
住民税の徴収方法で「普通徴収」を選択する
会社に副業が知られる最大の原因は、給与から天引きされる住民税の金額が変わることです。所得が増えれば住民税も増えるため、経理担当者がその変化に気づく可能性があります。
これを避ける最も有効な対策は、確定申告の際に、副業所得分の住民税の納付方法を「普通徴収」にすることです。これにより、給与分の住民税は従来通り天引き(特別徴収)され、副業分の住民税の納付書だけが自宅に届くようになります。これにより、会社に所得の増加を知られるリスクを大幅に低減できます。
就業規則の確認は忘れずに
住民税の手続きはあくまで税務上の対策であり、会社のルールとは別の問題です。副業を始める前には、必ず自社の就業規則で副業が許可されているか、また申請が必要な場合はその手続きについて確認しておきましょう。
特に、競合他社での業務や本業に支障をきたすような活動は禁止されているケースが多いため注意が必要です。税金の手続きと並行して、会社のルールを遵守することがトラブルを未然に防ぐ上で重要です。
もしポイ活の確定申告をしなかったら?無申告のペナルティ
無申告加算税
無申告加算税とは、確定申告の期限までに申告しなかった場合に科される行政罰的な税金です。税率は、納付すべき税額のうち50万円までは15%、50万円を超える部分は20%と非常に高率です。
ただし、税務調査の通知前に自主的に申告すれば5%に軽減されるため、もし忘れていた場合は速やかに申告することが重要です。悪質な仮装・隠蔽があった場合は、さらに重い重加算税が課されることもあります。
延滞税
延滞税とは、法定納期限までに税金を納付しなかった場合に、利息のように課される附帯税です。納付が遅れた日数に応じて自動的に加算されていきます。
税率は年によって変動しますが、納期限の翌日から2ヶ月以内と、それを過ぎた後で税率が変わります。無申告の場合は、本来の税額に加えて無申告加算税と延滞税の両方を支払う必要があり、負担は非常に大きくなります。
安心して使える!ポイ活アプリ5選
よくある質問・Q&A
赤字になった場合、申告は必要ですか?
ポイ活の所得(雑所得)が、経費を差し引いた結果として赤字になった場合、申告の義務はありません。また、雑所得の赤字は、給与所得など他の黒字の所得と相殺することもできません。
ただし、事業所得として認められている場合は、損益通算や損失の繰越が可能です。一般的なポイ活は雑所得にあたるため、赤字の場合は特に手続きは不要と考えてよいでしょう。
買い物で得たポイントや使ったポイントは課税対象?
お店での買い物時に付与されるポイントや、そのポイントを利用して商品の値引きを受けた場合、原則として課税対象とはならず、確定申告は不要です。これは、ポイントが商品購入という取引に付随する「値引き」と同様の性質を持つと解釈されるためです。
ただし、キャンペーン当選などで得たポイントは一時所得、アンケート回答などで得たポイントは雑所得として課税対象になるため、ポイントの獲得源泉によって扱いが異なる点に注意が必要です。
【まとめ】ポイ活の利益を正しく計算し、期限内に確定申告をしよう
確定申告と聞くと難しく感じるかもしれませんが、ルールを正しく理解し、一つ一つのステップを踏めば決して難しいものではありません。この記事を参考に、ご自身の税金に関する疑問を解決し、これからも安心してポイ活を楽しみましょう。
※データは編集部の調査に基づいたものです。内容は記載当時の情報で、現在と異なる場合があります。
※口コミはAppStore・GooglePlay公式レビューより引用しています。


